高市政権誕生
- 信彦 首藤
- 10月23日
- 読了時間: 2分

高市早苗議員が総理大臣に選出され、新しい政権が発足した。読売新聞一面に「高市内閣支持71%」の大文字が躍る。前任の石破政権末期の内閣支持率が20%程度であったことを考えれば、これは驚異的な数字であり、国民の強く熱い期待が感じられる。。。本当にそうであろうか?まだ何の具体的政策そしてそれを可能にする予算も成立していないのに、国民は一体何を好感したのだろうか?
唯一考えられるのは日本憲政史上、初の女性首相ということだろう。高市早苗氏は自己の政治家としての理想像をイギリス最初の女性首相であるサッチャー女史においているそうだ。
しかし、現実に発表された閣僚人事を見ると、女性候補はきわめて少なく、女性の持てる潜在力を活用する内閣にはなりそうもない。
サッチャーはハイエクの経済学に傾倒し、福祉経済に対して、自由主義と個人の責任を重視し、規制緩和や民営化を進めたが、高市首相がはたして経済活性化にどれだけの手腕を発揮できるかは未知数である。自由化のターゲットである国営企業や保守的な規制などはもうとっくに無くなっており、積極財政というのは経済政策ではない。
高市氏本人がサッチャーのどこを見習いたいと考えているのかわからないが、サッチャー女史は野心的な経済活性化のために付加価値税(消費税)を8%から15%にあげ、政権末期には中世的な人頭税(community charge)の導入まで計画した。また公定歩合を17%まで高めた。
1982年にイギリスをはるか離れた南大西洋のフォークランド島が占拠されると、サッチャー女史は直ちに武力を投入しアルゼンチンとの戦争に突入した。ひょっとしたら、この構図と尖閣諸島の問題とを重ね合わせて考えているのかもしれない。それは大変危険なことだ。
でも、まったく日本初の女性首相に期待していないわけではない。未知数であり、豹変するかもしれない。マーガレット・サッチャ女史は首相就任演説にあたって、聖フランシスコの平和の祈りを引用しつぎのように述べた。
分裂のある所に、和合を置かせてください。
誤りのある所に、真実を置かせてください。
疑いのある所に、信頼を置かせてください。
絶望のある所に、希望を置かせてください。
高市早苗首相にも後世に残る国会冒頭での名演説を期待したい。くれぐれも、イギリスで二人目の女性首相となったリズ・トラス政権(2022年9月6日から2022年10月25日)の轍を踏まないことを切に願うものだ。 首藤信彦




コメント