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新共和主義研究会発足準備について

 共和党の基幹的政治思想である共和主義がわかりにくいという声をよく聞きます。世界中の民主主義国家とその政治システムは多く共和主義の土台の上に成立しているのですが、市民革命を経験したことのない日本ではその歴史的経緯がなかなか理解されないようです。ですから共和党というと、「あのトランプの政党?」「軍産複合体に支配されている?」「白人中心主義の保守政党?」などと誤解される場面も多くあります。

 そもそも現在の世界で、一部の王政国家以外のほとんどは共和国で、それらの国では共和党が与党でなくても重要な政治勢力として存在します。その世界中どこにでもある共和党に日本だけ違和感・拒否感が残っています。

 たしかに、戦前においては、基本的には日本は万世一系の現人神である天皇によって統治された国家でした。そこでは、共和制=天皇否定ということで、明治期いや幕末から拒否反応がありました。幕末において、日本の近代化の構図を考えた思想家も、橋本左内・横井小楠のように処刑されたり暗殺されたりしました。明治維新後も、犬養毅・尾崎行雄への攻撃も激しく、共和演説事件などが発生しました。そして何より、治安維持法によって激しく弾圧されたのです。この結果、戦前に共和主義を標榜する政党は存在しませんでした。

 戦後においてはそのような弾圧が無かったはずですが、現実には国民の間に残るマイナスイメージから共和主義を冠した政党は出現しませんでした(アメリカ統治下の沖縄を除く)。

 また終戦期(戦争末期からGHQ支配時代)にアメリカは天皇を利用した日本の間接統治システム構想を完成させ、GHQは日本社会に「民主主義」を浸透させることに総力をあげ、本来共和主義であったものも民主主義的と理解させた経緯があると考えています。

これにより、世界中でどこにでもある共和党が、戦後80年近くたっても日本にはないという不思議な現象が生まれました。

 また現在のトランプ政権の理不尽な行動を見ると、アメリカ共和党にある種の保守的・反動的イメージが付きまとうのは自然なことです。

 19世紀中葉にリンカーンが新興市民勢力や勃興する産業を代表するリベラル勢力の共和党を創設し、保守的・保護主義的な大土地所有者による民主党支配の南部と奴隷解放をめぐって内戦になりました。その南北戦争の結果、新興市民階層・産業の支持を受けた北部が勝利し、さらに進歩的民主主義者であったリンカーンが暗殺されたため本来の共和党の理念が崩れ、以降は共和党がビジネス界中心の保守勢力となり、逆に敗者となった民主党が土地を失って貧困化した農民や弱者保護の政党になるという逆転現象が生まれた。その構図は現在も変わらず、共和党は大企業中心(典型的には軍事産業)の保守主義というイメージが定着しています。

 さらにアメリカの特殊事情として、近年、アジア系、ラテンアメリカ系移民が急増し、他方、次第に劣勢となる白人勢力に最後のよりどころとして共和党支持者に原理主義プロテスタント・福音主義者/終末派が勃興し、そのなかからMAGAを主張するトランプが救世主のように登場し、現実世界を滅茶苦茶にしている。。という実感があります。

 このような状況において、日本では政治をあまり深く考えない一般国民+政治家には共和党というネーミングが極めてネガティブに感じられるのです。

 一方、共和というのは孔子が理想とした周の時代に、悪王の代わりに能力のある人々が協力して統治した「古代東洋の理想社会」を表す概念ですが、戦後日本においては中国文明の影響力が下がったので、誰もこの概念を認識していないということです。共和という概念があったから、徳川幕府は大政奉還に踏み切ったのですが、今となっては誰も歴史を振り返らないので、理解されていません。

 私も、以上のいきさつを理解していましたが、2012年の民主党崩壊を受けて新しい政治思想にもとづく政党を作ろうとしたときに、共和主義に関心を持ったのは、当時の欧米でまきおこった「コミュニタリアニズム」に共感をもったからです。これは例のハーバート大学熱血授業で有名なマイケル・サンデル教授などが主唱した政治思想で、個人をベースとした自由主義的政治(リバタリアン・シカゴ学派)対国家・政府中心の政治の二者択一でなく、地域をベースとした多様性と自由度の高い政治を創ろうという考えによるものです。ところがこれも問題があり、要するにコミュニタリアニズムは日本語にならないということです。そこで色々検討した結果、最後にたどり着いたのが古代アジアの理想であった統治形態の共和であり、共和党だということです。これも説明に時間がかかるので、なかなか理解されていないのが残念なところです。


 今、ヨーロッパを中心に共和主義制度の再評価と、民主主義の次に来る「NEXTの政治システム」への関心が高まっています。民主主義が限界を迎えているのは明らかで、腐敗や制度の機能不全どころか、民主制度によって登場した独裁者が世界中で猛威を振るっている状況です。要するに民主選挙をやればやるほど政治は劣化するという現実です。そこで今、起こっている論点は①民主主義の基礎となっている共和主義制度の再評価②シチズンシップなど民主主義を支える人間の形成と発展③登場した左右中のポピュリズムへの対抗の三つに集約できると思います。③は新しい視点ですが、これこそ現代社会・現代文明が直面する最大の危機であると考えられます。

 そこで、共和党では今度、「新共和主義研究会」を立ち上げるべく努力中です。①~③の世界的な潮流と同時に、アジアの問題、日本の現実社会の問題も加味した研究会です。まだ構想段階ですが、近日中に皆さんにお伝えすることができると思います。またぜひ皆さんの議論

参加も期待しています。

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