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新共和主義研究会 9月6日レジメ 「ポピュリズム時代における共和主義の可能性」                                      

5 日前
読了時間: 10分

新共和主義研究会

「ポピュリズム時代における共和主義の可能性」             2026/09/06 小林正弥

                  *20190306の改訂版

1共和主義の概念

(1)原義      レス・プブリカ(公共的なもの)、republic

(2)意味      王権・貴族の私的利益による人々の抑圧

          →公共的な善の実現のために政治的変革

           したがって、反独裁・専制に中心。

  自己統治:そのためには人々の公共的美徳(civic virtue)が必要。

人々の公共的美徳(関心・行動)に基づく自己統治により、公共善を実現しようとする政治思想。

(3)歴史的展開:古典的・中世的・近世的・近代的共和主義

   ケンブリッジ学派の思想史研究

     社会契約論と並ぶ近代の中心的政治思想   

ポーコック『マキャヴェリアン・モーメント』

シヴィック・ヒューマニズム(公共民的人文主義)

ギリシャ:倫理的 美徳、政治参加 プラトン、アリストテレス

ローマ:制度的 混合政体    ポリュビオス

            →イタリア・ルネッサンス   マキャヴェッリ

            →イギリス・ピューリタン革命 ハリントン

            →オランダ(17C)スピノザ 商業社会と穏健な徳

            →アメリカ独立革命 ジェファーソンら

・フランス大革命 ルソー、自由・平等・友愛

    →「徳と商業(経済)」との統合という課題。

(4)二つの共和主義

①  リベラル(形式的)共和主義 制度的・国制論的

     非王制、共和国、三権分立      

→アメリカ フェデラリストから共和党 ワシントン・リンカーンら

 当初は倫理的、やがて富者の政党に

              ⇔民主党 弱者→リベラリズムへ

②  コミュニタリアニズム的(実質的)共和主義  倫理的

美徳  サンデルら  共和主義の復興

     アメリカ共和国において、もともとは上記の理念から始まったのに、

     単なる形式的な共和国になってしまい、倫理的・道徳的要素がなくなってしまい、リベラリズムが制覇してしまっていることを批判

=『民主政の不満』

      建国後も、南北戦争、革新時代、公民権運動など、周期的に

      共和主義の復興は存在→多元的共和主義としての再生を提案。

             (フランス革命とは異なるモデル)

 

 

2ポピュリズム時代における共和主義の可能性

(1)形式的共和主義の難点

 サンデルの警告は的中。

 共和国・アメリカがポピュリズムに転落し、帝国化

   歴史的にはローマ共和政と同じ。

   つまり、形式的共和主義の弱点が再び露呈。

(2)ポピュリズムとは?

    ・敵味方の二分法

    ・エリート批判

    ・人気取り政策  大衆迎合主義       

    ・人民主義    政治参加・同質性

      →これらから尺度構成

(3)2025・2026ポピュリズム選挙分析

   小泉政権、維新、都民ファースト

   2025:参政党など怨恨ポピュリズム:欧州と同じ類型。日本でも全国的に出現

        WB低下→ポピュリズム、排外主義

   2026:高市ポピュリズム:上からのポピュリズム+下からのポピュリズム

        (維新など)=ハイブリッド・ポピュリズム

                 (ネオ・ファシズム) 

(4)  倫理的コミュニタリアニズム的民主主義

   感性・デマ→理性+徳性 の必要性

 

対策:WBと理念・価値

 コミュニタリアニズム(徳義共生主義)

  善+共 徳  友愛+中庸など。

      義  正義  法的正義+倫理的正義

     

      共  に考える、生きる。→コミュナル。

   倫理的コミュニタリアニズム

→倫理的コミュニタリアニズム的民主主義ethical communitarian democracy(ECD)

(5)制度的共和主義の意義

 専制・暴政批判→制度的に三権分立など。

 たとえば、恣意的衆院解散の制限

      デジタル・ネガティブ・キャンペーン禁止などの制度改革。

      日銀などの独立性。

      国際的にはICC・赤根所長擁護。

 

2共和民主主義(公共的民主主義)

(1)コミュニタリアニズム+共和主義

コミュニタリアニズム的共和主義=徳義共和主義

 Republican democracy=共和民主主義

   全人的美徳+政治的美徳。ポジティブ心理学に基づくポジティブ政治

   思想的・政策的にはコミュニタリアニズム的

  *学術的には新共和主義という用語は最近使っていない。

    スキナー=ペティットの共和主義概念が新共和主義と呼ばれるように

    なったから。   非支配としての自由:ローマ的共和主義

(2)良質民主主義

民主主義との関係

     衆愚政に対する公共的美徳。卓越主義、民主主義の質的向上

       =良質民主主義(high-quality democracy)

     アメリカ共和党のような富者・強者の利益擁護は公共善に反しているが、逆に民主主義が衆愚政に陥らないように担い手たる市民が公共的市民になる必要。

 (3)永久多次元的民主主義(EMDD)

         Eternal multi-dimensional democracy

          丸山眞男の「永久革命としての民主主義」

      →垂直・水平(倫理)・上昇という3次元の緊張関係からの永久的な生成的民主主義

    *南原繁  日本におけるコミュニタリアニズムの先駆者

     丸山眞男       共和的自由民主主義の先駆者

(4)統合的政治哲学

 共和+民主→対立を止揚=共和民主党。

  歴史的には、民主共和党(democratic-republican party)

   ジェファソン、ハミルトン→民主党へ。

  共和党は富者の政党になってしまったので、

  逆に、共和=公共の理念を活かして、

民主党→共和民主党 という統合的発想。 

 

3日本型共和民主主義――生成的象徴天皇制と統合的共和民主主義(1) 王権との関係

  日本にはなぜ主要政党に共和党がないか?

 立憲政体では形式的王権や立憲政体(イギリス・日本など)と両立可能:王政のある共和国 

共和党という名称だと、反天皇制と誤解されやすい。→共和主義=公共主義。

(2)天皇制の理念:公共的政体

・公ありて私なし

・尊貴・徳

   ・血統  男子男系 対 女性女系

   *倫理的公共性を権力政治の上に置くのが日本文明の優れた特質。

    国民の幸福と平和への祈念

    →象徴天皇性においても不変。象徴天皇の「務め」まつりごと=奉仕事

           →上皇の退位メッセージ 日本の市民宗教の起点。

   ⇔麻生家の皇位簒奪  典型的な「私的」政治 公私対立

    →皇室典範改正反対・再改正論は共和主義理念と合致。

      =日本型共和民主主義=「公ありて私なき象徴天皇のもとの

                倫理的で公共的な民主主義」

(3)「共和」概念の歴史的展開

    外来、中国・周の共和時代(紀元前841-828)国王不在(厲王逃亡)の時、周公(孔子が尊敬した理想的政治家)+召公、あるいは共伯和が摂政、諸侯の合議による政治→republicの訳に。

    つまり、中国の有徳者・共同統治

共に、和。「和して同ぜず」(『論語』)。熟議=大和における共和。英語以上に、コミュニタリアニズム(徳義共生主義)と近い。

  →歴史的展開

幕末・明治期:横井小楠 公議・公論、5箇条の御誓文

       土佐派(中江兆民、植木枝盛)→自由民権運動

(4)日本型共和民主主義:公共と共和

コミュニタリアニズム=善+共

和+共:善としての和(友愛)   支配・同調の和ではなく、共和と

しての和(儒教「和して同せず」による理想的政治)  

よって本来は、共和主義を日本型コミュニタリアニズムの訳語としてよいくらい。(公共主義がリパブリカニズム)

共和体とは、コミュニナル・アソシエーション(共同体+自発的結社)

 この新原理がグループの組織原理ともなり、憲法原理・国家原理ともなる。   (コミュナル+自由主義的社会契約論) 参考資料の17特徴。

    →共和民主主義において、この意味を活かすと、

「徳義共生主義(コミュニタリアニズム)+共和主義(リパブリカニズム)+民主主義」を表せる。=民主+共和という点で統合的。

(5)  統合的民主主義:直接民主主義+間接民主主義

 デジタル・ネガティブ・キャンペーンによる倫理的不正選挙

  →衆議院の機能不全

  →直接的民主主義  デジタル署名運動

     *イランとの友好外交によるホルムズ湾船舶通過

      皇室典範改正反対

  フランス型 ルソー 友愛+人民民主主義

   →署名者の信託を受けた、代表者(発起人)の行動。

     *内閣不信市民決議案

  イギリス型 議会制 代表の論理

 立憲が失敗した草の根民主主義と代議制民主主義の結合。

→現在:新(競争的)権威主義に対する新しい政治的理念。

       専制化に対する、共和民主主義による公共善

 *アメリカ型の止揚  共和+民主

  フランス型+イギリス型  直接+間接

  (オランダ型    徳+経済)  +日本型象徴天皇制

参考資料:2019段階

■フランス型・アメリカ型に対して

(1) 公共性の理念(垂直・水平・超越)

①  リベラルにしてコミュナルな統合としての「共和」:美徳公共主義

②  活私開公    (⇔公私対立)

③  公(垂直)と公共(水平)による公共的公

④  精神性・倫理性・道徳性(超越)による公共性の実現:友愛公共

(米 キリスト教、仏 友愛)

(2) 公共体(共和体)の原理・性格

⑤  空間:グローカル(多層的・多元的公共体)   (⇔フランス型)

⑥  時間:超世代的公共体、家族と国民の世代継承性

⑦    形式的王制、象徴的天皇制とは両立    (⇔米・仏型)

⑧  中間集団…自発的結社・地域的コミュニティ(アメリカ型⇔フランス型)

⑨   限定的多文化主義            (⇔フランス型)

⑩  パトリオティズム(愛国心というより多層的・多元的な愛郷心・愛民心)                        

(⇔米・仏型)

(3) 政治・経済

 ⑪内政:倫理(ポジティブ民主政治)+制度(専制打破・防止の制度改革)

       憲章    実質的三権分立(識見ある熟議を可能にする立法府、行政府の公共化、司法の自律)

⑫民主主義的共和主義:単純な参加民主主義とは異なる、倫理的エリート主義…識見・人格・美徳・意識・使命感・能力による卓越主義(⇔フランス型)

 ⑬平和主義:墨守・非攻 (⇔アメリカの介入主義)

 ⑭公共善経済:友愛経済・ポジティブ経済・経営

(4) コミュニタリアニズム的公共政策

 ⑮エコロジー:自然との共生と共和(エコロジー的正義)、脱原発・再生可能エネルギー

 ⑯社会:ポジティブな公共的医療・保育・教育・福祉、ジェンダー・家族、生命倫理

 ⑰文化:ポジティブな公共的倫理・メディア、市民宗教

 

新共和主義  歴史的共和主義との相違  古典と将来

①    存在論:現代的「無知の知」と超個性

②         自己論:万人哲人主義と公共民主義

③         政治論:新公共主義的民主主義論と友愛革命

④          

日本版綱領の可能性

(1) ポジティブな政治的理念

 綱領(抽象度高い理念)→マニフェスト(具体的政策)

「権利/責任」の基礎となる「自由/共和(共+善)」

(法的)憲法(対ネガティブ)+(精神的)憲章(ポジティブ)

    後者のポジティブな目的としての

善+公共善:「開花・繁栄(栄えること)flourish」

            主観的な幸福感+現実の繁栄・発展

    世界人権宣言+惑星的繁栄憲章(チクセントミハイ)

(2) 新共和主義綱領のアイデア

•         リベラリズム・個人主義批判→コミュニタリアニズム的共和主義としての新共和主義

•         日本的な共和主義 憲法との関係(幸福追求、公共の福祉、平和主義など)、象徴天皇制との関係

•         権利と責任、友愛と善き正義

•         倫理的な「第3の道」:資本主義と社会主義を超える共和社会、ポジティブ福祉国家・勤労福祉国家、適正格差への縮小

•         政治:民主主義・立憲主義の回復、多数決主義ではなく良質な徳義民主主義、公共的美徳と公共善、投票、納税、陪審員、政治の浄化・公共化、社会運動、社会正義、

•         経済:正義に基づく繁栄と分配を目指す公共善経済、分配・開花・繁栄の繁栄戦略、適価で働きが報われる社会、善き税(税の正義)、ポジティブ経済政策

•         社会:コミュニティー・友愛社会、ケア、分かち合い、相互扶助、奉仕、道徳的対話、移民政策・限定的多文化主義

•         家族の再建から:新原理による新しい家族観、子ども、過去世代・現在  

世代・将来世代、世代生成性、男女とケア、ケアのための正義

•         保育・教育:道徳教育、ポジティブ教育、ポジティブ保育

•         福祉:公共的福祉とポジティブ福祉

•         医療・介護:ポジティブ健康、コミュニタリアン医療、善き看護・介護

•         メディア:メディア改革・ポジティブ・メディア

•         治安・公衆衛生:ポジティブ公衆衛生

•         文化:文化国家、ポジティブ倫理・学芸、市民教育、市民宗教

•         環境・平和:エコロジー的コミュニティ、脱原発と新エネルギー、緑の国家、善き安全保障、エコロジー的平和国家・憲法の再建、基地問題における正義

•         人類コミュニティ:東アジア共同体(共和体)構想、グローカル環境・福祉

 

参考文献:1.「古典的共和主義から新公共主義へーー公共哲学における思想的再定式化」(宮本久雄・山脇直司編『公共哲学の古典と将来』東京大学出版会、2005年、第6章)。

2.「共和主義解釈と新公共主義――思想史と公共哲学」(田中秀夫・山脇直司編『共和主義の思想空間――シヴィック・ヒューマニズムの可能性』(名古屋大学出版会)。

3.「新公共主義(ネオ・リパブリカニズム)の基本的展望――戦後日本政治理論の視点から」(佐々木毅・金泰昌編『公共哲学10 21世紀公共哲学の地平』東京大学出版会、2002年、第4章)。

4.マイケル・サンデル『民主主義の不満(上・下)』(勁草書房)

5.デジタル佼成:毎月連載の時論

2026年9月6日講演レジメ
2026年9月6日講演レジメ

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