共和党の”Objection!”(意義あり) ガソリン税暫定税率廃止が参院で「全会一致」で可決成立
- 信彦 首藤
- 2025年12月18日
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ガソリン税の暫定税率廃止法案が11月28日に参議院本会議で全会一致で可決され、廃止が決定した。全会一致ということは、主要政党のみならず少数政党そして無所属議員も含め参議院議員だれも反対しなかったということだ。これにより、1973年の石油危機で原油が高騰し、オイルショックと称される日本産業全体への深刻な不況と景気低迷への対処、また道路財源の不足をカバーするという建前で「2年限り」として導入されたものの、延長と税率引き上げを繰り返し、さらに2009年よりは用途を特定しない一般財源化が進められた悪名高いガソリン税が廃止となった。
しかし同時に、忘れてならないのは、この1970年代前半の時期に世界では環境問題への関心と理解も進み、燃費の悪い車や無駄なエネルギー消費の抑制など省エネルギーへの行動を誘導することも重要な視点として登場したのだ。
そもそも日本ではガソリンにはガソリン税(暫定税率)以外に石油諸税と呼ばれるさまざまな多重多段階課税が課され、それらの全体に消費税が課税されるわけで、二重課税の誹りが出るのは当然であった。また道路財源の内容や透明性についても批判があった。その意味では、根拠のあいまいな(暫定)税率などは消滅して当然であろう。
しかしながら、このガソリン税廃止は、これまでガソリン税がカバーしていた道路財源を含め、多様な社会費用の財源が消滅するわけだから、その分、政府は新たな財源を見出さなければならない。この部分の議論と会派の見解はどのように一致しているのであろうか?まさか国債発行で担保するわけではあるまい。
税金が減る、産業界が喜ぶ、国民も喜ぶ、だから、全会一致というのは、現代日本政治のポピュリズム奔流を考慮すれば当然かもしれない。また衆院選が目前に迫っているとの危機感から各党がそうした流れに絡めとられていくのは否定できない。
しかし、そういう状況においても、問題点を指摘し、そもそもガソリン暫定税が登場した様々な要因と現在の日本経済状況を分析し、未来へ向かっての解決を主張する議員は一人もいなかったのであろうか?不況感、生活苦から刹那的なボーナスを求めて、本質的な問題の議論がなおざりにされていると言わざるを得ない。
忘れてはならないのは、環境的視点、省エネルギーの視点だ。ガソリン税が廃止され、ガソリン価格が1リットルで25円程度安くなれば石油業界・産業界・流通・輸送業界などには確実に大きなメリットがあり、これらの産業から政治献金も増加するかもしれない。また、これで景気が良くなる、インフレが抑制される。。。と絵にかいた餅のような話を垂れ流す政治家もいる。しかし、一般家庭の家計への本当の影響はどうだろうか?
ここで考えなければならないのは、日本のガソリン価格がはたして高すぎるかどうか?という点だ。1リットル160円ー170円というのは世界では平均的な価格で、クウェートやナイジェリアなどの産油国を除けば、自らが産油国であるアメリカを除けば、先進国特にヨーロッパ諸国は軒並み300円台である。日本のガソリン価格は暫定税率下の現在でも、ヨーロッパ諸国の半額ぐらいの安価な水準だ。
ヨーロッパ諸国が軒並み1リットル300円台なのは、一つは懲罰税的な要素があるからでもある。すなわち、ガソリン車からEV車への切り替えを促し、あるいは地球環境配慮のための炭素税付加がその背景にある。ヨーロッパではさらにウクライナ戦争によって、これまで前提として

予定していたロシアからの安価なエネルギー供給に暗雲が立ち込め、あるいはまた中東やアフリカの紛争によって、将来は石油の安定供給が妨げられる可能性も政策的な視野に入っている。
すなわち、世界はすでにもう来るべきエネルギー冬の時代に備えて、さまざまな手を打ち始めているということだ。先進世界は確実にエネルギー確保とガソリン消費抑制に動きだしている。そのような状況の中で、ガソリン暫定税廃止でガソリン価格が下落したので、安価なガソリンを潤沢に使い続けようという国が果たして、世界の現状を理解し、適切な対応を準備しているものといえるだろうか?
政策手段としては根拠の不透明なガソリン税を廃止し、その代わりに炭素税を導入するとか、あるいは石油諸税などを含め、合理化・透明化を図り、その財源をもって国家百年の計のために、また来るべき冬の時代に備えて大胆な社会の改革や災害対策を進めるなどの提言が必要なのではないだろうか?こういう視点が国会で議論され、国民の理解を求めるべきだったと思う。
共和党としては、消費税との二重課税であり、不透明なガソリン暫定税の廃止には賛成だが、短期的なボーナス感を求めての全会一致には異議を挟まざるを得ない。




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