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「中道改革連合」の失ったもの=「チームみらい」の得たもの


  政治のプロの目からすれば、ほとんど組織、活動実績もなく380万もの得票(得票率6.6%)そして11人の当選者を出した「チームみらい」は、何とも理解に苦しむ怪しげな存在に映るのかもしれない。特に、今後の政治で自分たちが次の支配者となることを期待していたYoutube/Web陣営からは一斉に、「チームみらい」と安野代表に批判が噴出した。

票の集計作業あるいは選挙自体が公正でなかったという批判はさておき、当選者の適格性、テクノロジーで政治を変えるという主張の欺瞞、国政を担う者の基本的な政治能力などについて、様々な討論番組や動画配信の中で、「チームみらい」の政党としての資格と能力に疑問が投げかけられている。

それはその通りだと思うが、ここでは逆に、大方の予想をはるかに上回る「チームみらい」の成功がなぜもたらされたかを分析したい。

それは基本的にオールドメディア、端的に言えばテレビその中でもNHK番組の影響力である。「チームみらい」は本来期待される都市部だけでなく、地方の限界集落のような地域でも多くの票を集めた。むろんそこでの住民の大部分は高齢者・後期高齢者層であって、SNS・WebやAIとは縁もゆかりもない人々である。しかし、そういう地域でもNHKのニュースや政治討論番組などが多く流され、政治情勢が緊張する中で、時間に余裕のある高齢者は十分に見ている。

この層への接近は、NHKを操る政権・官邸側によって管理されている。だから以前においては、攪乱要素となる新しい少数政党などはNHKテレビ番組に登場することが無かった。2020年代に登場した「れいわ」は独自の主張を持っていたが、それを広報できるのは駅頭・街頭だけで、NHKの番組には呼んでもらえなかった。しかし、「れいわ」が次第に勢力を拡大し、それなりの知名度を持つようになると、政権側は今度は最大野党である立憲民主党の足を引っ張るために、「れいわ」の山本代表をNHK番組や討論の場面に積極的に登場させるようになった。

左右勢力の妥協の上に成立している立憲民主党は、単純明快なポピュリストの主張によって足をすくわれ、野田代表への評価も影響を受けた。国民民主党、日本維新の会に加え参政党や保守党などの新興保守勢力も参加して、結果的に野党のばらばら感が醸成され、そして相対的に立憲民主党の存在が縮小していった。今回の立憲民主党の失速は、すでにこの時点で仕組まれていたのである。テレビ番組の討論に少数政党を参加させればさせるほど、野党の意見はばらばらまとまりがなく、強いリーダーシップや明確な政策の実現とは程遠い存在とみられ、結果的に自民党の主張への信頼感が醸成された。これが現代政治を操る勢力の手腕である。

彼らは、この場面の中に新しく「チームみらい」の安野代表を登場させた。参議院議員一人しかいない政党が、果たして衆議院選挙直前のNHKの党首討論番組に登場する資格があるのかどうかは、過去の事例からすれば疑問があるだろう。しかし、誰か(おそらく官邸側)の手配で、ほとんど政治的実績のない政党が討論番組に登場することになった。

この辺の深謀や政権側で選挙を管理する組織や具体的な指令を,我々は知ることができない。しかし、安倍政権時代からNHKの政治報道と番組をめぐる操作は、非常に高度で効果的であると言わざるを得ない。これは陰謀論でもなんでもない。アメリカにおいて1980年当時の冷戦構造崩壊期から、政治と選挙はマーケティング手法を駆使し、メディアを操り政治に活用するコンサルタントが急速に成長している。おそらく日本にもそうした組織が政権や官邸官僚と協働していると推察される。アメリカにおいては、そのようなトレンドに対抗して、野党側、中立勢力、学会、市民団体などが新しい政治情報誌やメディアを作ってバランスをとっているが、日本ではそのような動きはなく、政権側の操作するままになっている。

そのNHK討論番組で「チーム未来」の存在は際立っている。若く、政治経験がなく(永田町に染まっていない)、AI専門家のエンジニアを売り物にしている安野氏と「チームみらい」は確実にそれ以外の既存政党・職業政治家との差別化に成功した。

同時に、与野党あげて目先の選挙のためのポピュリズム政策に走り、なかんずく、現実的には極めて困難な消費税減税や廃止を主張する中で、「チームみらい」は消費税の堅持と社会保険料の軽減を主張した。

 実はこれは多くの国民が理解し納得していることなのだ。既存政党の方は、選挙民を単純で深く考えない投票者と考え、ポピュリズム的政策を宣伝している。事実、「手取りを増やす」「所得103万円の壁撤廃」というキャッチフレーズで国民民主党は前回衆院選で党勢を拡大した。それ以降、国民は何も深く考えず、皮膚感覚で、単純な結論や手軽なキャッシュだけを求めている。。という判断が日本政治の共通理解となった。

 しかし、国民はそのレベルのポピュリズムからは距離を置き始めた。すでに所得税を抜いて31兆円規模に達している消費税を廃止し、その財源としての国債発行を行うなどは、円安による輸入品・諸物価高騰に苦しむ庶民もその非現実性を理解している。

 そして年々増加する社会保険料、医療費・介護負担そしてそれらが年金からつぎつぎと天引きされていくことを嘆く高齢者は、消費税削減が必ず年金支給額に悪い影響を与えることを容易に理解するだろう。自分で報酬などの所得を得ない高齢者は同時に、過少消費者でもある。だから高齢者は消費税減税や廃止に漠然とした危機感をいだいているのだ。

 そうした高齢者がNHK討論番組を見て失望するのは「れいわ」や社民党・共産党の主張だ。金持や大企業からもっと税金を取れ、という主張はある面では正しいが、それが簡単でないことは誰でも理解できる。「チームみらい」の主張は突飛なのではなく、今や誰もが不本意ながら認めざるを得ない現実なのだ。

 このような状況において、現代世界と日本社会の複雑さを理解し、包括的対策そしてそれを実現するための政策と財源などを国民に提示し、内外ともに問題の山積した日本政治を未来に向かって示すのこそ、最大野党の立憲民主党の役割であり、現実に2009年には立憲民主党の前身である民主党が、「マニフェスト」として国民に提示し、選挙戦に勝利したのだった。

 まことに残念なことに、立憲民主党はそうした歴史的意義を理解することなく、ポピュリズム的でしかも中途半端な政策しか提言することができず、さらに革新政党としての役割を捨てて数合わせの選挙戦略に堕した。民主党時代からの平和・安保政策そして反原発推進に期待し立憲民主党を支持してきた住民は、今回の公明党との中道改革連合の結成で、一斉に支持から離れた。

 それだからと言って、自民・公明・維新・保守にも共感せず、社民・共産・れいわに賛同もしない皆さんは、漠としてはいるがリベラルで、若者中心で、未来志向的な雰囲気を醸す「チームみらい」に票を入れることになったのである。

 


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